王様ゲーム

残業後のオフィス、二人きりの王様ゲームが招いた禁断の背徳感


 静まり返った深夜のオフィスは、昼間の喧騒が嘘のように冷たく、重苦しい沈黙に包まれている。窓の外に広がる街の灯りは遠く、青白いモニターの光だけが、僕と彼女の顔を不自然に照らし出していた。
 残業を終えようとしていた僕たちの間に、妙な空気が流れたのは、ふとした冗談からだった。
「……ねえ、少し退屈じゃないですか? 何か遊びませんか」
 そう言って微笑んだ彼女は、僕の部下であり、いつもは規律正しく、隙のない仕事ぶりを見せる女性だ。彼女の提案した「王様ゲーム」は、最初はただの暇つぶしのつもりだった。割り箸に書いた番号を引き、運命を弄ぶ。そんな子供じみた遊びが、この閉鎖された空間では、どれほど危険な香りを孕んでいるか、その時の僕はまだ気づいていなかった。

 僕が「王様」を引いた瞬間、空気が一変した。
 彼女の瞳に、微かな、しかし確かな期待と、抗いがたい背徳の予兆が宿ったのを僕は見逃さなかった。僕は、喉の奥が熱くなるのを感じながら、理性という名の薄い氷の上を歩くような心地で、その命令を口にした。
「……デスクの上で、僕におしゃぶりをしろ」
 その言葉が放たれた瞬間、室内の温度が数度上がったかのような錯覚に陥った。彼女は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに抗うことを放棄したかのように、静かに、そして深く頷いた。
 彼女はゆっくりと立ち上がり、僕のデスクへと歩み寄る。散らばった書類やペン、付箋が貼られたノートが、彼女の膝によってかき乱されていく。その無秩序な光景が、これから始まる行為の淫らさを強調していた。

 彼女は僕の目の前で膝をついた。タイトスカートが擦れる音、ストッキングが擦れる微かな音が、静寂の中でやけに大きく響く。彼女は震える指先で、僕のズボンのベルトを解き、ジッパーを下ろした。
 露わになった僕の熱を、彼女の熱い吐息が包み込む。彼女は潤んだ瞳で僕を見上げ、まるで儀式を執り行うかのように、丁寧に、そして慎重に、僕の肉体を解放していった。
 そして、彼女の唇が僕を捉えた。
 熱い。ただそれだけではない、吸い付くような粘膜の感触が、脳の芯まで突き抜ける。
「ちゅぱ、ちゅぱ……じゅぽ、じゅぽ……」
 静かなオフィスに、肉と肉がぶつかり合い、唾液が混ざり合う淫らな音が響き渡る。彼女の舌は、僕の先端を執拗に、そして巧みに弄ぶ。ペロペロと、あるいはチロチロと、まるで極上の菓子を味わうかのように、彼女は僕の感触を確かめながら奉仕を続けていく。
 デスクの端に手を突き、必死に耐えようとする彼女の背中。仕事用のデスクという、本来なら規律と秩序の象徴である場所で、彼女は僕の欲望を受け入れるための器へと変貌していた。

 彼女の奉仕は、次第に激しさを増していく。
 口内を深く使い、喉の奥まで僕を迎え入れようとするその献身的な姿勢に、僕は理性の限界を感じ始めていた。彼女の頬が膨らみ、喉が上下するたびに、僕の感覚は極限まで研ぎ澄まされていく。
 じゅぽじゅぽ、と、吸い上げる音がさらに湿り気を帯び、彼女の口内から溢れ出す唾液が、僕の太ももを伝う。視界が白濁し、思考が停止していく。ただ、彼女の口内の熱さと、舌の動き、そして喉の締め付けだけが、世界のすべてになった。

 限界が、すぐそこまで迫っていた。
 僕は彼女の髪を掴み、その動きを促す。彼女は僕の意図を察したのか、さらに深く、より貪欲に僕を咥え込んだ。
 ドクン、ドクンと、脈打つ鼓動が全身を駆け巡る。
「あ……っ、ん……っ」
 彼女の鼻にかかった吐息が、僕の肌を震わせる。
 そして、ついに決壊した。
 どぴゅどぴゅ、と、熱い塊が彼女の口内へと叩きつけられる。
 口内発射。
 ドクドクと溢れ出す精液が、彼女の喉の奥を突き、口腔の隅々までを満たしていく。彼女はそれを逃がさないように、必死に口を閉じ、喉を鳴らして受け止めていた。
 びゅるる、と最後の一滴まで絞り出される感覚とともに、僕は激しい絶頂の波に飲み込まれた。

 放出が終わっても、彼女はすぐに口を離さなかった。
 彼女は、僕の肉体に残ったわずかな感触さえも逃さないように、じっくりと、丁寧に、口内での奉仕を続けていく。まるで、溢れ出した精液を、一滴たりともデスクや床にこぼしてはならないという、強い意志を感じさせるような動きだった。
 彼女は、僕の先端を最後までじっくりと舐め上げ、最後に、喉の奥で「ごっくん」と大きな音を立てて、すべてを飲み込んだ。
 飲み込む音。それが、この静寂なオフィスにおいて、最も背徳的で、最も官能的な響きを持っていた。

 彼女は、口の端にわずかに残った透明な液体を指で拭い、満足げな、それでいてどこか虚ろな表情で僕を見上げた。
 彼女は、僕の目を見つめながら、少しだけ掠れた声で、その感想を伝えてくれた。
「……すごく、濃厚で、重たい味がしました……」
 その言葉は、決して甘いものではなかった。しかし、その重みと質感が、今しがた行われた行為の生々しさを、何よりも雄弁に物語っていた。

 僕は、乱れた呼吸を整えながら、デスクの上に散らばった書類を見つめた。
 彼女は、何事もなかったかのように立ち上がり、乱れたスカートを整え、髪をかき上げた。
 深夜のオフィス。
 王様ゲームという遊びがもたらした、この禁断の背徳感。
 僕たちは、再び静かな、しかし決定的に変わってしまった空気の中で、ただ黙って、夜が明けるのを待っていた。
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