カチリ、というドアの閉まる乾いた音が、僕たちの背後で決定的な断絶を告げた。
ビジネスホテルの、どこにでもある無機質な、それでいて生活感の欠落した狭い部屋。蛍光灯の白すぎる光が、僕たちの間に流れる異常な熱を容赦なく照らし出している。廊下からは、時折、誰かが部屋へ入っていく足音や、エレベーターの動作音が微かに響いてくる。その一音一音が、僕の心臓を鋭く突き刺す。もし今、誰かがドアをノックしたら。もし、僕の日常を構成しているはずの人間たちが、この場所に僕がいることを知ったら。
その恐怖が、背筋を凍らせるような冷たさとなって僕を襲うと同時に、下腹部には焼け付くような熱が溜まっていく。バレるかもしれない。その危うさが、理性という名の薄い膜を、瞬く間に焼き切っていくのだ。
彼女は、僕の視線を避けるようにして、でも逃げることのない情欲を瞳に宿して、ゆっくりと膝をついた。
狭いシングルベッドの脇、フローリングの硬い感触を彼女の膝が受け止めている。彼女の呼吸は、既に乱れていた。僕たちの関係は、決して祝福されるものではない。昼間の顔、家庭、社会的地位。それらすべてを脱ぎ捨て、この狭い密室でだけ、僕たちは剥き出しの獣になる。
彼女の細い指先が、僕のズボンのベルトに掛かる。震えているのは、恐怖からか、それとも昂ぶりからか。答えは分からない。ただ、彼女の唇が僕の肌に触れた瞬間、すべてが白濁した感覚に包まれた。
フェラチオ。
彼女の熱い口内が、僕の熱を飲み込んでいく。じゅぽ、という湿った音が、静まり返った部屋に不自然なほど大きく響き渡る。彼女の舌が、亀頭の周囲を執拗に、そして丁寧に這い回る。チロチロと、まるで宝物を探り当てるような繊細な動き。それから、ちゅぱちゅぱと、吸い付くような激しい音へと変わっていく。
僕はベッドの端に身を預け、天井を見上げた。天井のシミが、歪んで見える。
彼女の口内は、驚くほど熱く、そして締め付けが強い。喉の奥まで僕を迎え入れようとするその献身的な姿勢が、背徳感をさらに加速させる。ペロペロと、先端をなぞる舌の動き。じゅぽじゅぽ、と、空気を巻き込みながら吸い上げる音。その音が聞こえるたび、僕の意識は現実から遠ざかり、ただ一点、彼女の口の中に集中していく。
「……ん、……っ」
彼女の鼻から漏れる、抑えられた吐息。それが、まるで僕を煽っているかのように感じられた。
窓の外では、都会の喧騒が遠くで鳴っている。街の灯りは、僕たちの密会を祝福しているのか、それとも監視しているのか。もし今、この窓から誰かに覗かれていたら。もし、この行為がすべて記録されていたら。
思考が飛躍するたびに、快楽は鋭利な刃物となって僕の神経を削っていく。彼女の口内での動きが加速する。ちゅぱ、ちゅぱ、と、激しく、貪欲に。彼女の瞳が、上目遣いで僕を捉える。その瞳には、僕を支配したいという欲求と、壊してしまいたいという破壊衝動が混ざり合っているように見えた。
限界は、唐突に、そして暴力的なまでの衝動と共に訪れた。
腰が跳ね、全身の血が一点に集中する。逃げ場のない快楽が、脳髄を真っ白に塗りつぶしていく。
「あ……っ、……!」
僕の叫びは、彼女の口内に吸い込まれた。
どぴゅ、どぴゅどぴゅ、と、熱い塊が、彼女の喉の奥へと叩き込まれていく。口内発射。彼女はそれを拒むことなく、むしろ、より深く、より強く、僕を迎え入れるようにして、すべてを受け止めようとした。
ドクドクと脈打つたびに、彼女の喉が大きく動き、僕の精液を飲み込んでいく。
射精が終わった後も、彼女はすぐに口を離さなかった。
じゅるり、と、最後の一滴までを絞り出すように、彼女は何度も何度も、僕のそれを口内で弄び、吸い上げた。彼女の喉が、ゴクン、と大きく上下する。
彼女は、一滴もこぼすことなく、僕のすべてを飲み干した。
口の端に、わずかに白濁した跡が残っている。彼女はそれを指で拭い、舌でゆっくりと舐めとった。
静寂が戻った部屋で、僕たちは重い呼吸を繰り返している。
彼女は、少しだけ潤んだ瞳で僕を見上げ、掠れた声で言った。
「……すごく、濃厚で……、熱い味がしたよ」
その言葉は、僕の耳元で、呪いのように、あるいは救いのように響いた。彼女が感じたその味は、僕たちが共有した、決して誰にも言えない、汚れに満ちた、けれど鮮烈な真実の味だった。
時計の針は、無情にも進んでいる。
僕たちは、またすぐに「まともな人間」に戻らなければならない。それぞれの日常へ、それぞれの役割へと。
けれど、この部屋に充満する、生々しい精液の匂いと、彼女の口内に残った僕の熱だけが、僕たちが確かに「生きて」いたこと、そして「罪を犯した」ことを証明していた。
僕は、彼女の髪に手を伸ばし、その感触を確かめるように強く、強く握りしめた。次の密会までの、果てしない空白を埋めるために。
ビジネスホテルの、どこにでもある無機質な、それでいて生活感の欠落した狭い部屋。蛍光灯の白すぎる光が、僕たちの間に流れる異常な熱を容赦なく照らし出している。廊下からは、時折、誰かが部屋へ入っていく足音や、エレベーターの動作音が微かに響いてくる。その一音一音が、僕の心臓を鋭く突き刺す。もし今、誰かがドアをノックしたら。もし、僕の日常を構成しているはずの人間たちが、この場所に僕がいることを知ったら。
その恐怖が、背筋を凍らせるような冷たさとなって僕を襲うと同時に、下腹部には焼け付くような熱が溜まっていく。バレるかもしれない。その危うさが、理性という名の薄い膜を、瞬く間に焼き切っていくのだ。
彼女は、僕の視線を避けるようにして、でも逃げることのない情欲を瞳に宿して、ゆっくりと膝をついた。
狭いシングルベッドの脇、フローリングの硬い感触を彼女の膝が受け止めている。彼女の呼吸は、既に乱れていた。僕たちの関係は、決して祝福されるものではない。昼間の顔、家庭、社会的地位。それらすべてを脱ぎ捨て、この狭い密室でだけ、僕たちは剥き出しの獣になる。
彼女の細い指先が、僕のズボンのベルトに掛かる。震えているのは、恐怖からか、それとも昂ぶりからか。答えは分からない。ただ、彼女の唇が僕の肌に触れた瞬間、すべてが白濁した感覚に包まれた。
フェラチオ。
彼女の熱い口内が、僕の熱を飲み込んでいく。じゅぽ、という湿った音が、静まり返った部屋に不自然なほど大きく響き渡る。彼女の舌が、亀頭の周囲を執拗に、そして丁寧に這い回る。チロチロと、まるで宝物を探り当てるような繊細な動き。それから、ちゅぱちゅぱと、吸い付くような激しい音へと変わっていく。
僕はベッドの端に身を預け、天井を見上げた。天井のシミが、歪んで見える。
彼女の口内は、驚くほど熱く、そして締め付けが強い。喉の奥まで僕を迎え入れようとするその献身的な姿勢が、背徳感をさらに加速させる。ペロペロと、先端をなぞる舌の動き。じゅぽじゅぽ、と、空気を巻き込みながら吸い上げる音。その音が聞こえるたび、僕の意識は現実から遠ざかり、ただ一点、彼女の口の中に集中していく。
「……ん、……っ」
彼女の鼻から漏れる、抑えられた吐息。それが、まるで僕を煽っているかのように感じられた。
窓の外では、都会の喧騒が遠くで鳴っている。街の灯りは、僕たちの密会を祝福しているのか、それとも監視しているのか。もし今、この窓から誰かに覗かれていたら。もし、この行為がすべて記録されていたら。
思考が飛躍するたびに、快楽は鋭利な刃物となって僕の神経を削っていく。彼女の口内での動きが加速する。ちゅぱ、ちゅぱ、と、激しく、貪欲に。彼女の瞳が、上目遣いで僕を捉える。その瞳には、僕を支配したいという欲求と、壊してしまいたいという破壊衝動が混ざり合っているように見えた。
限界は、唐突に、そして暴力的なまでの衝動と共に訪れた。
腰が跳ね、全身の血が一点に集中する。逃げ場のない快楽が、脳髄を真っ白に塗りつぶしていく。
「あ……っ、……!」
僕の叫びは、彼女の口内に吸い込まれた。
どぴゅ、どぴゅどぴゅ、と、熱い塊が、彼女の喉の奥へと叩き込まれていく。口内発射。彼女はそれを拒むことなく、むしろ、より深く、より強く、僕を迎え入れるようにして、すべてを受け止めようとした。
ドクドクと脈打つたびに、彼女の喉が大きく動き、僕の精液を飲み込んでいく。
射精が終わった後も、彼女はすぐに口を離さなかった。
じゅるり、と、最後の一滴までを絞り出すように、彼女は何度も何度も、僕のそれを口内で弄び、吸い上げた。彼女の喉が、ゴクン、と大きく上下する。
彼女は、一滴もこぼすことなく、僕のすべてを飲み干した。
口の端に、わずかに白濁した跡が残っている。彼女はそれを指で拭い、舌でゆっくりと舐めとった。
静寂が戻った部屋で、僕たちは重い呼吸を繰り返している。
彼女は、少しだけ潤んだ瞳で僕を見上げ、掠れた声で言った。
「……すごく、濃厚で……、熱い味がしたよ」
その言葉は、僕の耳元で、呪いのように、あるいは救いのように響いた。彼女が感じたその味は、僕たちが共有した、決して誰にも言えない、汚れに満ちた、けれど鮮烈な真実の味だった。
時計の針は、無情にも進んでいる。
僕たちは、またすぐに「まともな人間」に戻らなければならない。それぞれの日常へ、それぞれの役割へと。
けれど、この部屋に充満する、生々しい精液の匂いと、彼女の口内に残った僕の熱だけが、僕たちが確かに「生きて」いたこと、そして「罪を犯した」ことを証明していた。
僕は、彼女の髪に手を伸ばし、その感触を確かめるように強く、強く握りしめた。次の密会までの、果てしない空白を埋めるために。
✦ コメント ✦
まだコメントはありません。
コメントするには Xログイン が必要です。