現代ファンタジー

残業中のオフィスに紛れ込んだサキュバス、上司を快楽で支配する夜


深夜二時。オフィスビルの窓の外は、都会の喧騒が嘘のように静まり返っている。モニターの青白い光だけが、僕の疲れ切った顔を無機質に照らしていた。連日の残業で思考は霧がかかったように鈍り、ただ目の前の数字を処理することだけに全神経を注いでいた。そんな、死んだような静寂の中に、彼女は現れた。

会議室から出てきたのか、あるいはどこからか染み出してきたのか。タイトな紺色のスーツに身を包んだ女性が、僕のデスクの傍らに立っていた。オフィスビルにはもう誰もいないはずなのに、彼女の存在感はあまりにも鮮烈だった。整った顔立ち、どこか人間離れした艶やかな瞳。彼女が近づいてくるたびに、空気が重く、熱を帯びていくような錯覚に陥る。

「まだ、お仕事中ですか?」

その声は、耳の奥に直接響くような、低く、それでいて抗いがたい響きを持っていた。僕は戸惑いながらも、彼女の視線から目を逸らすことができなかった。彼女の瞳には、獲物を追い詰めた捕食者のような、残酷なまでの慈愛が宿っている。

彼女は何も言わずに、僕のデスクの横に膝をついた。スーツのスカートが擦れる微かな音さえ、この静寂の中では爆音のように聞こえる。彼女の手が、僕の太ももに触れた。その指先は驚くほど熱く、触れられた場所から全身に電流が走るような感覚に襲われた。

「……何をするつもりだ」

声に出した言葉は、自分でも驚くほど弱々しく、熱を帯びていた。彼女は答えず、ただ微笑を浮かべ、僕のズボンのベルトに手をかけた。理性が警鐘を鳴らしている。こんなことはいけない、仕事中だ、ここは会社だ。しかし、彼女の放つ圧倒的なフェロモンが、僕の思考を一つ、また一つと塗り潰していく。

ジッパーが下ろされる音が、静かなオフィスに響く。解放された僕の熱を帯びた塊が、彼女の視界に晒された。彼女はうっとりと目を細め、まるで至高の芸術品を眺めるかのように、僕のそれを凝視した。

彼女の唇が、ゆっくりと近づいてくる。まず、先端に触れたのは、熱い舌の感触だった。チロチロと、まるで味見をするかのように、繊細な動きで亀頭の周囲をなぞっていく。そのあまりにも丁寧な愛撫に、僕は思わず背中をのけぞらせた。

「あ……っ」

声が漏れる。彼女はそれを楽しむかのように、今度は口全体で僕を包み込んだ。じゅぽじゅぽ、という湿った音が、静まり返ったオフィスに響き渡る。彼女の口腔は驚くほど熱く、そして吸い付くような圧力が、僕の理性を根こそぎ奪い去っていく。

ちゅぱちゅぱ、と激しく音を立てながら、彼女は喉の奥まで僕を迎え入れた。喉の収縮が、僕の神経を直接刺激する。彼女の舌は、裏筋を執拗に這い回り、亀頭の裏側を力強く、かつ優雅に愛撫し続ける。まるで、僕の身体のすべてを吸い尽くそうとするかのような、貪欲なフェラチオだった。

僕はデスクにしがみつき、意識が遠のいていくのを感じていた。視界は白濁し、ただ彼女の口内から伝わる熱と、吸い上げられる快感だけが世界のすべてになった。彼女の瞳が、上目遣いに僕を捉える。その瞳には、僕のすべてを支配し、屈服させているという確信に満ちた悦びが浮かんでいた。

じゅぽ、じゅぽ、と、さらに深い吸引が繰り返される。彼女の頬が凹み、口腔内の圧力が極限まで高まる。そのたびに、僕の身体は弓なりに反り、指先までが痙攣するように震えた。

限界は、唐突に訪れた。

「あ、あああぁっ!」

ドピュッ、ドピュドピュッ、と、熱い塊が彼女の喉の奥へと叩きつけられた。どくどく、と脈打つ感覚とともに、僕の精気がすべて、彼女の口の中へと注ぎ込まれていく。

彼女は、その激しい射精を一切逃そうとはしなかった。むしろ、溢れ出そうとする精液を、喉を鳴らして、ごっくん、と一心不乱に飲み込んでいく。口内に残った一滴のザーメンさえも、彼女は舌を使って丁寧に絡め取り、最後の一滴まで吸い尽くそうとしていた。

しばらくの間、僕は荒い呼吸を繰り返しながら、虚脱感の中に沈んでいた。身体の芯まで抜き取られたような、空っぽの感覚。しかし、そこには言葉にできないほどの充足感が残っていた。

彼女は、口端についたわずかな痕跡を指で拭い、満足げに微笑んだ。そして、僕の耳元に顔を寄せ、熱い吐息とともに囁いた。

「……すごく、濃くて、重厚な味がしたわ。身体の芯まで響くような、力強い味」

彼女の言葉は、僕の耳の奥でいつまでもリフレインしていた。彼女が語るその味の表現は、僕には想像もつかないものだったが、彼女の瞳を見れば、それが真実であることが理解できた。

彼女は、何事もなかったかのように立ち上がると、整ったスーツの乱れを直し、静かにオフィスを出て行った。残されたのは、静寂と、僕の荒い呼吸、そして、どこか遠い場所で、まだ熱を帯びたままの僕の身体だけだった。

窓の外では、夜明けが近づいている。青白いモニターの光は変わらず、僕のデスクを照らしていたが、世界はもう、さっきまでのものとは決定的に違って見えていた。彼女に支配された、あの狂おしい夜の記憶だけが、僕の魂に深く刻み込まれていた。
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