深夜のホテルの廊下は、不自然なほどに静まり返っていた。使い古されたカーペットが僕の足音を吸い込み、湿った空気だけが肌にまとわりつく。チェックインを済ませ、自分の部屋へ向かうだけの単純なはずの道中だった。しかし、その静寂を破ったのは、不意に耳に飛び込んできた、湿り気を帯びた異質な音だった。
「……っ、……ん、……っ、……」
それは、壁越しに聞こえてくるのか、それとも、もっと近くからか。僕は足を止め、音の源を探るようにして歩みを進めた。402号室。そこから、粘り気のある、喉を鳴らすような音が漏れ聞こえてくる。
僕は抗いがたい衝動に突き動かされ、その部屋の前に立ち尽くしてしまった。ドアは、わずかに、本当に数ミリほどだけ、隙間が開いていた。廊下の薄暗い照明が、その細い隙間に差し込み、まるで禁断の領域への入り口のように見えた。
心臓の鼓動が、耳元でうるさいほどに鳴り響く。逃げ出すべきだ、そう理性は告げている。しかし、視線はすでに、その細い光のラインへと吸い寄せられていた。僕は息を殺し、吸い込まれるようにして、その隙間に目を凝らした。
視界に飛び込んできたのは、断片的な、しかしあまりにも生々しい光景だった。
薄暗い室内、ベッドの端に腰掛けている男のシルエット。そして、その足元に跪き、一心不乱に何かを口に含んでいる女性の姿。
彼女の背中が、規則的なリズムで上下している。
「じゅぽ、じゅぽ、……ちゅぱ、……ん、……んんっ……」
粘膜が擦れ合い、唾液が混ざり合う、重く湿った音が隙間から漏れ出してくる。それは、言葉になる前の、もっと原始的な、本能を直接揺さぶる音だった。
隙間から見える彼女の髪は乱れ、白く滑らかな背中が、男の動きに合わせて小さく震えている。彼女の口元には、男の逞しいおちんぽが深く、深く沈み込んでいた。時折、彼女の顔がわずかに浮き上がり、糸を引くような唾液が、男の根元から溢れ落ちるのが見えた。
僕は、自分が今、何を犯しているのかを理解していた。これは覗きだ。他人の最もプライベートで、最も獣に近い瞬間を、勝手に盗み見ている。その背徳感が、僕の背筋をゾクゾクと駆け抜け、下腹部に熱い塊を押し付ける。
「……あ、……はぁ、……っ……」
男の、押し殺したような、しかし悦びに満ちた喘ぎ声が聞こえる。
女性のフェラチオは、さらに激しさを増していくようだった。彼女は、ただしゃぶっているのではない。まるで、その一本を完全に支配し、自分のものにしようとしているかのような、執念すら感じる動きだ。
「じゅぽじゅぽ、ちゅぱ、……ちゅる、……っ、……んぐ、……」
音がより深く、より重くなっていく。彼女の喉が、男のそれを受け入れるたびに大きく波打つのが、隙間の向こう側からでもはっきりと分かった。彼女の瞳は、おそらく恍惚とした表情で、目の前の獲物を、あるいは神を、見つめているのだろう。
視覚的な断片が、僕の脳内で増幅されていく。
男の太ももの筋肉が、快楽に耐えかねて硬直する様子。
彼女の口元が、何度も何度も、深く、力強く、おしゃぶりするように動く様。
そして、その激しい運動の合間に聞こえる、空気が混じり合う「じゅるり」という音。
僕は、自分の呼吸が浅くなっていることに気づいた。喉が渇き、全身の血が、一点へと集中していく。覗き見ている自分自身の卑猥な欲望が、この静かな廊下で、まるで毒のように全身を巡っていた。
やがて、部屋の中の空気が一変した。
男の呼吸が荒くなり、身体が大きく震え始めた。
「……っ! ……あ、……あぁっ!」
限界が近い。僕は、その瞬間を逃すまいと、さらに目を凝らした。
男の腰が、ガクガクと激しく跳ねる。
女性は、逃がさないと言わんばかりに、さらに強く、さらに深く、その口を男の先端に密着させた。
「どぴゅっ、……どぴゅ、……どぴゅどぴゅ、……っ!」
激しい射精の音が、静かな部屋に響き渡る。
男の身体から、大量の精液が、彼女の喉の奥へと叩き込まれていく。
彼女は、それを一滴も逃さないように、必死に、貪るようにして受け止めていた。
喉を鳴らし、ごっくん、ごっくん、と、重厚な音を立てて、精子を飲み込んでいく。
彼女の頬が、射精の衝撃でわずかに膨らみ、そして、ゆっくりと、ゆっくりと、嚥下していく。
その様子は、まるで聖なる儀式を執り行っているかのようでもあり、同時に、極限まで欲望に忠実な獣のようでもあった。
僕は、その光景を、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
男の射精が終わると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
口元には、まだ白濁した液が、糸を引いて残っている。
彼女は、満足げに、しかしどこか虚ろな瞳で、男の顔を見上げた。
「……ん、……すごく、……重い味がした……」
彼女が、掠れた声で、そう呟いたのを、僕は聞き逃さなかった。
その言葉が、この場に漂う空気の濃度を、さらに一段階、濃密なものへと変えた。
彼女は、指先で口元を拭い、残った精液を、まるで最後の一滴まで大切にするように、丁寧に、唇で掬い取った。
僕は、逃げるようにその場を立ち去った。
自分の部屋のドアを閉め、鍵をかけ、暗いベッドに倒れ込んだ。
しかし、瞼を閉じても、あの隙間から見た断片的な景色と、耳にこびりついて離れない、あの湿った音、そして彼女が飲み込む音は、消えてくれなかった。
背徳感と、言いようのない渇きが、僕の胸の中で渦巻いている。
あの部屋の、あの熱狂。
あの、すべてを飲み干すような、執着に満ちたフェラチオ。
僕は、自分が、あの一瞬の光景に、魂の一部を奪われてしまったことを確信していた。
「……っ、……ん、……っ、……」
それは、壁越しに聞こえてくるのか、それとも、もっと近くからか。僕は足を止め、音の源を探るようにして歩みを進めた。402号室。そこから、粘り気のある、喉を鳴らすような音が漏れ聞こえてくる。
僕は抗いがたい衝動に突き動かされ、その部屋の前に立ち尽くしてしまった。ドアは、わずかに、本当に数ミリほどだけ、隙間が開いていた。廊下の薄暗い照明が、その細い隙間に差し込み、まるで禁断の領域への入り口のように見えた。
心臓の鼓動が、耳元でうるさいほどに鳴り響く。逃げ出すべきだ、そう理性は告げている。しかし、視線はすでに、その細い光のラインへと吸い寄せられていた。僕は息を殺し、吸い込まれるようにして、その隙間に目を凝らした。
視界に飛び込んできたのは、断片的な、しかしあまりにも生々しい光景だった。
薄暗い室内、ベッドの端に腰掛けている男のシルエット。そして、その足元に跪き、一心不乱に何かを口に含んでいる女性の姿。
彼女の背中が、規則的なリズムで上下している。
「じゅぽ、じゅぽ、……ちゅぱ、……ん、……んんっ……」
粘膜が擦れ合い、唾液が混ざり合う、重く湿った音が隙間から漏れ出してくる。それは、言葉になる前の、もっと原始的な、本能を直接揺さぶる音だった。
隙間から見える彼女の髪は乱れ、白く滑らかな背中が、男の動きに合わせて小さく震えている。彼女の口元には、男の逞しいおちんぽが深く、深く沈み込んでいた。時折、彼女の顔がわずかに浮き上がり、糸を引くような唾液が、男の根元から溢れ落ちるのが見えた。
僕は、自分が今、何を犯しているのかを理解していた。これは覗きだ。他人の最もプライベートで、最も獣に近い瞬間を、勝手に盗み見ている。その背徳感が、僕の背筋をゾクゾクと駆け抜け、下腹部に熱い塊を押し付ける。
「……あ、……はぁ、……っ……」
男の、押し殺したような、しかし悦びに満ちた喘ぎ声が聞こえる。
女性のフェラチオは、さらに激しさを増していくようだった。彼女は、ただしゃぶっているのではない。まるで、その一本を完全に支配し、自分のものにしようとしているかのような、執念すら感じる動きだ。
「じゅぽじゅぽ、ちゅぱ、……ちゅる、……っ、……んぐ、……」
音がより深く、より重くなっていく。彼女の喉が、男のそれを受け入れるたびに大きく波打つのが、隙間の向こう側からでもはっきりと分かった。彼女の瞳は、おそらく恍惚とした表情で、目の前の獲物を、あるいは神を、見つめているのだろう。
視覚的な断片が、僕の脳内で増幅されていく。
男の太ももの筋肉が、快楽に耐えかねて硬直する様子。
彼女の口元が、何度も何度も、深く、力強く、おしゃぶりするように動く様。
そして、その激しい運動の合間に聞こえる、空気が混じり合う「じゅるり」という音。
僕は、自分の呼吸が浅くなっていることに気づいた。喉が渇き、全身の血が、一点へと集中していく。覗き見ている自分自身の卑猥な欲望が、この静かな廊下で、まるで毒のように全身を巡っていた。
やがて、部屋の中の空気が一変した。
男の呼吸が荒くなり、身体が大きく震え始めた。
「……っ! ……あ、……あぁっ!」
限界が近い。僕は、その瞬間を逃すまいと、さらに目を凝らした。
男の腰が、ガクガクと激しく跳ねる。
女性は、逃がさないと言わんばかりに、さらに強く、さらに深く、その口を男の先端に密着させた。
「どぴゅっ、……どぴゅ、……どぴゅどぴゅ、……っ!」
激しい射精の音が、静かな部屋に響き渡る。
男の身体から、大量の精液が、彼女の喉の奥へと叩き込まれていく。
彼女は、それを一滴も逃さないように、必死に、貪るようにして受け止めていた。
喉を鳴らし、ごっくん、ごっくん、と、重厚な音を立てて、精子を飲み込んでいく。
彼女の頬が、射精の衝撃でわずかに膨らみ、そして、ゆっくりと、ゆっくりと、嚥下していく。
その様子は、まるで聖なる儀式を執り行っているかのようでもあり、同時に、極限まで欲望に忠実な獣のようでもあった。
僕は、その光景を、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
男の射精が終わると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
口元には、まだ白濁した液が、糸を引いて残っている。
彼女は、満足げに、しかしどこか虚ろな瞳で、男の顔を見上げた。
「……ん、……すごく、……重い味がした……」
彼女が、掠れた声で、そう呟いたのを、僕は聞き逃さなかった。
その言葉が、この場に漂う空気の濃度を、さらに一段階、濃密なものへと変えた。
彼女は、指先で口元を拭い、残った精液を、まるで最後の一滴まで大切にするように、丁寧に、唇で掬い取った。
僕は、逃げるようにその場を立ち去った。
自分の部屋のドアを閉め、鍵をかけ、暗いベッドに倒れ込んだ。
しかし、瞼を閉じても、あの隙間から見た断片的な景色と、耳にこびりついて離れない、あの湿った音、そして彼女が飲み込む音は、消えてくれなかった。
背徳感と、言いようのない渇きが、僕の胸の中で渦巻いている。
あの部屋の、あの熱狂。
あの、すべてを飲み干すような、執着に満ちたフェラチオ。
僕は、自分が、あの一瞬の光景に、魂の一部を奪われてしまったことを確信していた。
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