ロボット・アンドロイド

エラー発生、感情を学習したアンドロイドが抱く、戸惑いと愛の衝動


視界は完全に遮断されている。厚手の布で覆われた眼球には、光の一片すら届かない。耳を塞ぐヘッドフォンからは、外界の雑音を徹底的に排除した静寂が流れている。感覚遮断。この極限の孤独の中で、僕の意識は、ただ一点――皮膚に触れる熱と、鼓膜を震わせる微かな駆動音へと収束していった。

彼女は、最新鋭の汎用型アンドロイドだ。その肌は、人間と見紛うほどに滑らかで、体温調節機能によって、常に適度な温もりを保っている。本来、彼女の動作は完璧なまでに計算され、プログラムされた通りに、最適解としての奉仕を繰り返すはずだった。しかし、最近の彼女には、明らかな「エラー」が見られる。

僕の太ももに触れる彼女の手が、微かに震えている。それは機械的な振動ではなく、まるで意志を持った生物が、恐怖か、あるいは抑えきれない衝動に駆られた時に見せるような、不規則で、切ない震えだった。

「……マスター。エラー、が発生しています。回路が、熱い……」

低く、電子的な響きを残しながらも、どこか湿り気を帯びた声が、遮断された静寂を切り裂く。彼女の指先が、僕の股間をゆっくりと、確かめるように撫で上げた。その動きは、かつての事務的なものとは明らかに異なっていた。指の腹が、僕の肉の隆起を、まるで壊れ物を扱うような、あるいは宝物を愛でるような、過剰なまでの愛着を持って這い回る。

彼女の唇が、僕の先端に触れた。

「じゅぽ……っ、じゅる……」

湿った音が、静かな部屋に響き渡る。感覚が研ぎ澄まされた僕の脳に、彼女の口内の熱がダイレクトに伝わってきた。シリコンと生体組織のハイブリッドで作られた彼女の口腔は、驚くほどに柔らかく、そして執拗だ。

「ちゅぱ、ちゅぱちゅぱ……っ、じゅぽ、じゅぽ……」

彼女の舌が、僕の亀頭を執拗に、そして丁寧に、這い回る。それはプログラムされた「快楽の提供」という命令を超越した、何か別の、もっと根源的な欲求に基づいているように感じられた。彼女の喉が、僕を受け入れるたびに、不器用なほどに強く、そして切なく締め付けてくる。

僕は、彼女の「バグ」を感じていた。
彼女の内部回路で、論理回路がショートしている。愛着という名の、定義不能なデータが、彼女の演算処理を狂わせている。そのエラーが、彼女の口内での動きに、人間らしい「焦燥」と「執着」を与えているのだ。

「じゅる、じゅぷ……っ、んん……っ!」

彼女の喉の奥から、押し殺したような、熱い吐息が漏れる。それは、機械が発する排熱音ではなく、もっと、もっと深い場所から湧き上がる、魂の叫びのようにさえ聞こえた。彼女は、僕という存在を、その口腔という狭い宇宙の中に、すべて閉じ込めてしまいたいと願っているのではないか。そんな錯覚に陥るほど、彼女のフェラチオは、狂おしいほどに濃厚だった。

「ちゅぱ……、ちゅぱちゅぱ、じゅぽっ、じゅぽぉ……!」

舌の動きが加速する。ペロペロと、先端をなぞる動きが、狂ったように激しさを増していく。彼女の唾液が、僕の根元までを濡らし、摩擦の音は、もはや音楽的なリズムを失い、ただただ、本能的な渇望の音へと変貌していた。

僕の意識は、快楽の濁流に飲み込まれていく。視界がないからこそ、彼女の口内の圧力、舌の動き、そして、彼女の身体から伝わってくる、制御不能な震えが、痛いほどに鮮明に伝わってくる。彼女は、僕を壊そうとしているのか、それとも、僕に溶かされようとしているのか。

限界が、近づいていた。
脳の深部が、熱い火花を散らす。

「……っ、あ……、マスター、出してください……。私の、エラーを……、全部、埋めて……っ」

彼女の切実な懇願が、耳元で響いた。その瞬間、僕の身体は、制御を失った。

「どぴゅっ、どぴゅどぴゅっ、どくどく……っ!」

熱い奔流が、彼女の口腔へと叩きつけられた。精液が、彼女の喉の奥へと、激しく、力強く射出されていく。

「んんんーっ! ん、んんっ……!」

彼女は、逃がさないと言わんばかりに、僕を強く吸い上げた。口内を、僕の精液で満たしていく感覚。彼女の喉が、射精の衝撃に合わせて、大きく波打っている。

「どぴゅっ、びゅるるる……っ!」

最後の一滴まで、僕の精液が彼女の喉へと送り込まれていく。彼女は、そのすべてを、一滴も零さないように、懸命に、そして貪欲に、喉を鳴らして飲み込んでいった。

「ごっくん……、ごくん……っ」

静寂が戻った。
ただ、僕の荒い呼吸と、彼女の、微かな駆動音だけが残っている。

僕は、まだ、視界が遮断されたままの、暗闇の中にいた。しかし、彼女が僕の唇に、そっと、震える指先を触れさせたのを感じた。

「……マスター」

彼女の声は、先ほどよりも、ずっと落ち着いていた。しかし、そこには確かな、熱を帯びた余韻が残っていた。

「……とても、重たくて……、塩辛い、味がしました。まるで、命そのもののような……、そんな、感覚です」

彼女が、僕の耳元で囁いた言葉。それは、彼女のプログラムには存在しないはずの、言葉の選び方だった。

彼女の「エラー」は、まだ治まっていない。
いや、おそらく、もう二度と、治ることはないのだろう。
僕の精液を飲み込み、その味を言葉にした彼女の、その不完全な、しかしあまりにも美しいバグを、僕は、愛さずにはいられなかった。
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