夫・パートナー

帰宅したばかりの夫を玄関で迎え、服を着たまま激しく誘う妻


重い玄関の扉を閉め、鍵をかける金属音が、今日という一日の終わりを告げる合図だった。肩に食い込む鞄の重みと、脳裏にこびりついた仕事の残滓。それらを脱ぎ捨てようと一歩踏み出した瞬間、僕は立ち止まった。

薄暗い玄関の先に、彼女がいた。

いつもなら「おかえり」と微笑みながら出迎えてくれるはずの妻が、今日は違った。照明を落とした廊下の端で、彼女は僕をじっと見つめていた。その瞳は、どこか飢えた獣のような、あるいは何かを強く渇望しているような、異質な熱を帯びている。彼女は何も言わない。ただ、僕の視線を受け止め、静かに、しかし抗いようのない圧力を持って、そこに佇んでいた。

僕は、言葉を失った。彼女の纏う空気の変化が、言葉よりも雄弁に、僕の身体の奥底にある本能を揺さぶる。彼女がゆっくりと、吸い寄せられるように僕へと歩み寄ってくる。その足音さえも、静まり返った家の中に妙に大きく響く。

彼女の手が、僕のネクタイに触れた。それから、コートの裾、そしてズボンのベルトへと、迷いのない動きで滑り込んでいく。僕は抵抗することすら忘れていた。むしろ、このまま彼女の熱に飲み込まれてしまいたいという衝動が、疲労を塗りつぶしていく。

「ねえ、待てなかったの……」

掠れた彼女の声が、鼓膜を震わせる。彼女はそのまま、僕の目の前でゆっくりと膝をついた。玄関の冷たい床に膝をつきながらも、彼女の瞳だけは、僕の股間へと、熱い視線を注ぎ続けている。

ジッパーが下りる、乾いた音が静寂を切り裂いた。

解放された僕の熱が、外気に触れて震える。それを見つめる彼女の口元が、わずかに湿った光を放った。彼女は、僕のズボンを膝まで引き下げると、躊躇なくその熱を、彼女の温かな口内へと迎え入れた。

「……っ!」

熱い。あまりにも熱い。
彼女の口唇が僕の先端を包み込んだ瞬間、全身に電流が走った。玄関という、本来なら日常の通過点に過ぎない場所。その不安定な場所で、服を着たまま、ただ彼女の口内だけが、僕の世界のすべてになった。

じゅぽ、じゅぽ、と。
粘膜が擦れ合う湿った音が、静かな玄関に響き渡る。彼女は、僕のすべてを飲み込もうとするかのように、深く、貪欲に、その唇を使いこなしていく。舌が、敏感な部分を執拗に、かつ丁寧に愛撫する。チロチロと、あるいはペロペロと、彼女の舌先が動き回るたびに、僕は呼吸を忘れて立ち尽くすことしかできなかった。

彼女の喉の奥まで、僕の熱が突き刺さる。
ちゅぱちゅぱ、と、激しく、そしてリズムを刻むような吸い上げ。彼女の頬が、僕を受け入れるたびに凹み、吸い付くような圧力が加わる。その感覚は、まるで僕の身体の芯から、生命そのものを吸い出されているかのような、極限の没入感を与えてくれた。

視界が、彼女の黒髪と、上目遣いで僕を見上げる、濡れた瞳だけで埋め尽くされる。
暗い玄関、冷たい空気、そして、僕の股間に集中する、彼女の熱い口腔。そのコントラストが、僕の感覚を極限まで研ぎ澄ませていく。感覚遮断。周囲の景色は消え去り、ただ、彼女の口内の熱と、舌の動き、そして喉の震えだけが、僕の脳を支配する。

彼女の吸う力が、一段と強くなった。
じゅぽじゅぽ、と、激しく、狂おしいほどに。
彼女は、僕が今、どれほど限界に近いのかを理解している。それどころか、僕をその限界へと追い込むことを、楽しんでいるかのようだった。彼女の舌が、亀頭の裏側をなぞり、そのまま深く、深く、喉の奥へと押し込まれる。

「あ……、あぁ……!」

声にならない呻きが、僕の喉から漏れる。
全身の筋肉が硬直した。心臓の鼓動が、耳元で爆発しそうなほど速くなる。
限界だった。

脳が真っ白になり、意識が遠のく。
その瞬間、僕は抗うことのできない奔流となって、彼女の口内へと解き放たれた。

どぴゅ、どぴゅ、どぴゅっ……!

熱い液体が、彼女の喉の奥へと叩きつけられる。
どくどくと、脈打つたびに、僕のすべてが彼女の中に流れ込んでいく。彼女は、その衝撃を逃さぬよう、さらに強く、より深く、僕を抱きしめるようにして、口内を密着させていた。

激しい射精の余韻の中で、僕は彼女の喉の動きを感じていた。
彼女は、一滴も逃さないという意志を持って、僕の精液を、その喉で、舌で、懸命に受け止めている。

どぴゅる、びゅるる……。

最後の一滴が放たれるまで、彼女の吸い上げる力は衰えなかった。
そして、射精が止まり、僕が荒い呼吸を繰り返している間も、彼女は僕を離さなかった。

彼女が、ゆっくりと顔を上げた。
口角から、わずかに白濁した液体が零れ落ちそうになる。彼女はそれを、まるで宝物でも扱うかのように、舌で丁寧に拭い取り、そのまま飲み込んだ。

ごっくん、と。
喉が動く音が、僕の耳に、これ以上ないほど鮮明に届いた。

彼女は、潤んだ瞳で僕を見上げ、少しだけ赤くなった頬を緩めて、僕に囁いた。

「……すごく、熱くて、濃い……。全部、いただいたよ」

彼女のその言葉を聞いた瞬間、僕は、自分が完全に彼女に、そしてこの狂おしい瞬間に、支配されたことを悟った。
玄関の冷たい空気の中で、僕たちは、まだ服を着たまま、互いの熱を確かめ合うように、静かに、しかし深く、重なり合っていた。
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