大学の夏合宿。それは、僕にとって一生忘れられない、あまりにも濃密で、そして少しだけ背徳的な記憶として刻まれている。
その年の夏は、例年になく猛暑だった。テニスサークルの合宿で行った山あいの宿泊施設は、昼間は蝉の声がうるさいほどに響き、夜になっても湿り気を帯びた熱気がまとわりついてくるような場所だった。仲間たちはみんな、大部屋で疲れ果てて眠りについていた。僕も、あまりの暑さと、合宿中の激しい運動による疲労で、なかなか寝付けずにいた。
深夜二時を回った頃、僕は喉の渇きと、少しだけ頭を冷やしたいという衝動に駆られ、一人で外に出た。宿泊施設の裏手には、サークルの備品を保管するための古い部室があった。そこは少し離れた場所にあり、夜になれば街灯も届かないほど真っ暗になる。僕は、そこへ少しだけ涼みに行こうと考えた。
部室の重い扉を開けると、古い木材の匂いと、使い古されたテニスラケットのゴムの匂いが混ざり合った、独特の静寂が僕を迎えた。窓から差し込む月明かりが、埃の舞う室内をわずかに照らしている程度で、全体的には深い闇に包まれていた。僕は、隅の方にあるベンチに腰を下ろし、静かに呼吸を整えていた。
しかし、その静寂は、背後で扉が微かに開く音によって破られた。
「……先輩、ここにいたんですね」
その年の夏は、例年になく猛暑だった。テニスサークルの合宿で行った山あいの宿泊施設は、昼間は蝉の声がうるさいほどに響き、夜になっても湿り気を帯びた熱気がまとわりついてくるような場所だった。仲間たちはみんな、大部屋で疲れ果てて眠りについていた。僕も、あまりの暑さと、合宿中の激しい運動による疲労で、なかなか寝付けずにいた。
深夜二時を回った頃、僕は喉の渇きと、少しだけ頭を冷やしたいという衝動に駆られ、一人で外に出た。宿泊施設の裏手には、サークルの備品を保管するための古い部室があった。そこは少し離れた場所にあり、夜になれば街灯も届かないほど真っ暗になる。僕は、そこへ少しだけ涼みに行こうと考えた。
部室の重い扉を開けると、古い木材の匂いと、使い古されたテニスラケットのゴムの匂いが混ざり合った、独特の静寂が僕を迎えた。窓から差し込む月明かりが、埃の舞う室内をわずかに照らしている程度で、全体的には深い闇に包まれていた。僕は、隅の方にあるベンチに腰を下ろし、静かに呼吸を整えていた。
しかし、その静寂は、背後で扉が微かに開く音によって破られた。
「……先輩、ここにいたんですね」
✦ コメント ✦
まだコメントはありません。
コメントするには Xログイン が必要です。